036739 ランダム
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リトルスター第一章

             第一章30世紀の新たな星
 
 ここは30世紀のリトルスター(小さな星)その名の通りこの星は地球の大きさの半分足らずの小さな星だ。
この星は1世紀ほど前に発見され、その当時は人の住むことのできる環境ではなかった。しかし、今生きている人たちは多くの知識を持ち、このリトルスターを人のすむことのできる最低限の環境にすることができた。
そのことが話題になり、地球上の1万人の人々がこのリトルスターに住むことになった。しかし、人々はそれを拒んだ。なぜなら、この星では、地球にあるべきオゾンなどがひとつもなく、バリアーを使い、空気はろ過装置により酸素に換えられ、この星の本当の姿はなく、「作り物の地球」と言う状態であった。
 そして、このリトルスターにはほかにもいろいろと問題があった。
 しかし、人々は時がたつに連れ、この星への疑いや不安は薄れていった。こうして半年が過ぎた。
「ハルー!」
一人の少女が走ってやってきた。少女の名はサキ。そして少年の名はハル。この二人はリトルスターに移住する前からの幼なじみだ。年は14歳
。「おう!サキか!久しぶりだな。」

 ハルは結構気の強そうな少年だ。 二人はこのリトルスターに移住してから一度も会っていなかった。
「ねぇ。ハル。この星には慣れた?」

「いや、よくわかんねーなんか草も木もねーしよー。ここに来る前のほうがよっぽどよかったぜ。」
「やっぱりハルもそう思うんだ。帰りたい…帰りたいよ~。

そういってサキは泣き出してしまった。
「お、おい。泣くなよー。」
 ハルは昔からサキが泣くのを見るのは苦手だ。何をどうしていいかわからなくなるらしい。
「だって、だって…。」
「なー。明日って何日だ?」
「えっ?明日?え~っと。8月の8日だよ。なんで?」
「8月8日ってたら、一回地球に戻れたんじゃなかったか?」
このリトルスターでは、新たに物を作ることをしないため、地球に自分が必要なものを半年に一回だけとりいくことができるようになっている。それが今回8月8日。明日に一回目の半日帰星が行なれる事になっていた。
 「そうだね!」
そして二人は明日、ロケット発飛場でam9:30に待ち合わせ10:00発のロケットでリトルスターを出ようと約束した。

 そして次の日。
ピピピピ…。パチ。
「ふぁ~~。もう朝か…。」
そういって外を見た瞬間ハルは何も言わずに固まってしまった。
 時計は確かに朝8:30を指しているのに外には月と星が出ていてとても暗い。
街灯もついている。しかし道のほうはいつもの朝と変わらず会社へ行く人たちの姿がある。
「変だな…。まあいい。もう時間だ。」
一方サキも。
「本当に朝だよね?」
サキは不安ながらも約束の場所にいくことにした。

 AM9:30 二人は待ち合わせの場所に着いた。
「ねえ、ハル本当にわかんないの?こんな夜みたいにくらい原因。」
「いや、もしかすると、この星を取り巻くバリアーの状態が不安定なのかもしれない。
 たしか、バリアーや空気の調節をするのは『アリアスコンピューター』だったよな?」
 『アリアスコンピューター』とは、この星の空気ろ過装置やオゾン層のかわりのバリアー。そして人間一人一人の個人情報1万人分すべてを記録して地球と同じような環境を作ることのできるこの星で最高のコンピューターなのだ。
「それって『アリアスコンピューター』が壊れてるってこと?」
「その可能性もなくはない。もし壊れていたとしてもそんな大変なことではないだろう。」
「そ、そうだよね。」
そのときは二人とも何の心配もしていなかった。
「さあ、もうすぐ10:00だ。そろそろ行くぞ。」
「うん!」
そして二人は発飛場のあるファンス街へ行った。そして、ロケットに乗り込み発飛するのを待つことにした。
「ハル。今、10:00過ぎたよね?」
「ああ。」
 10:00に発飛するロケットに乗ったものの10:00を過ぎても飛び立たない。
いったいどうしたのだろうか。
 するとそこへパイロットが来てこういった。
「今しばらくお待ちください。コンピューターのほうでトラブルが発生いたしまして発飛が30分ほど遅れております。」
「じゃあ、10:30には発飛できるんだな?」
「はい、できるでしょう。」
「そうか。」
その後は何も話さずに10:30になった。
「おまたせしました。」
さっきのパイロットがのってきた。
「ではこれから発飛しま~す。」
そういうと5秒ほどで離陸した。
「ねえ、ハル。このロケット私たち以外には誰も乗ってないね。」
「ああ、そうだな。」
そこでサキはパイロットに聞いてみることにした。
「ねえ、パイロットさん、どうしてこのロケットには私たちしか乗ってないの?」
「さあ、私にもさっぱりですよ。なんか今日は災難ですねー。」
「ふ~ん。」
サキはとても暇そうだ。
「早くつかないかなぁ。ここから何時間くらいで地球につくの?」
「後、一時間足らずでつくだろうな。まあ、それまでは静かにしていろ。」
「…。」
この三人しか乗っていないロケットは妙に静かでサキはしゃべらなくては怖くてたまらない様子だった。
 そして30分が過ぎ、一時間が過ぎた。
「さあ、もう地球につきますよ。」
そういうとほぼ同時に地球の発飛場についた。
「わ~い!」
サキとハルは久々に戻ってきた地球の地面を早く踏みたいといわんばかりにそそくさとロケットの出口へ―。
 しかしロケットから出た二人が見た地球は
最後に見た地球の姿とはまったく違ったのだった…。
      
  1章完
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